原薬工業会とは沿革
30周年を迎えて
法規委員会
法規委員会は、1991年、原薬に係わる法的問題を検討することを目的として総務委員会、経済委員会と共に発足し、委員会活動を始めた。
委員会活動の趣旨は、原薬製造業の遵守すべき多様な法規制に着目し、調査研究を行い、併せて会員各社のコンプライアンスの向上を目指し、法規制に関する幅広い活動を行うことであった。
委員会発足以来、旧薬事法第2条の定義における、医薬品原薬の位置づけが曖昧であり、原薬の規制に不都合が生じていたため、この点の明確化をはじめとして、原薬に係わる法的諸問題の解明と規制緩和のための研究に精力を傾けてきた。
現在まで実施してきた主な項目
・原薬に係わる薬事法、通知並びに関連法規に関する調査、研究
・原薬取扱いに関する問題点の検討と対応
・規制緩和要望のとりまとめと当局への要望
・ワーキンググループによる研究活動、研修報告書の作成と配布
・原薬に係わる情報の伝達(GMP、化審法、労安法等の関連法規・基準)
・改正薬事法の検討と改善要望(DMF、流通における取扱い)
・諸法規と原薬製造業界の対応(PL、RC)
・総会、研修懇談会における会員への啓発、研修報告の配布
・他団体等との意見交流、ワーキンググループ等への参加
主な活動として、以下の5項目について概要を記載した。
1.薬事法改正に向けた調査研究
1)マスターファイル制度の調査研究
1994年、原薬の承認許可制度のあるべき姿を求めるため、欧州DMF制度を調査し制度内容について取りまとめ作成資料を会員各社へ配布した。
2001年、7月に実施した「原薬に係わる薬事法上の問題点に関するアンケート」にてマスターファイル(MF)制度等に関するアンケート調査を会員各社に協力を得て実施した結果、欧米と同様の制度となっても各社とも対応可能であることを確認できたため、MF制度に関する調査研究を開始した。
2001年、年度活動報告書では、1993年に作成したDMF作成に関する資料を更新すると共に米国のDMF制度に関する最新情報を掲載し配布した。
また、改正薬事法により原薬の流通における取扱いにおいては製造業許可が必要となったが、他団体と共に当局との話し合いにより、当分の間、従来どおりの卸売り一般販売業者による取扱いが可能となった。
2)他団体との意見交流
2002年、日薬連第6WG、厚生労働科学研究MF検討会に参加した。
2004年、9月に開催の国立医薬品食品衛生研究所主催の第2回医薬品品質フォーラム(テーマ:承認書と品質保証)へ参加、講師、原薬分科会の座長を派遣し、MFの取扱い(製造方法欄に記載すべき事項の範囲及び深さ、軽微な変更の内容)について、原薬製造企業の立場からの意見を述べると共に分科会において公開討論に参加した。
3)変更管理に関する調査研究
2003年、変更事例を収集すると共に、EU、FDAにおける変更管理ガイドライン、承認申請書記載事項に関する指針等を参考に「マスターファイルに係わる検討報告」として纏め上げ、作成資料を会員各社へ配布した。
2004年、MF制度の概要、事務手続き等が通知、事務連絡等で徐々に明らかになったため、「承認後変更に係わる検討(原薬)」として、前年度に行った変更事例検討資料を基に変更管理に的を絞った調査検討資料を作成した。
2.薬事法の課題検討
1994年、輸出用医薬品に関する制度的問題について調査検討を行い、作成資料を会員各社に配布した。
1997年、4月に薬事法の一部改正が施行され原薬関連事項として、治験関係、承認・許可申請関係及び市販後調査関連の3項目につき、改正内容を分かり易く取り纏めた資料を作成した。
1998年、前年に省令化されたPMSに対応するため、原薬製造業者における最小限の課題を整備し、製剤メーカーとの情報交換に関する覚書(案)と原薬の市販後調査に関する業務手順書(案)を作成し翌年の研修報告書に掲載した。
3.原薬製造に係わる諸法規の検討
1994年、製造物責任(PL)法・廃棄物処理(劇・毒物取扱い、悪臭防止、バーゼル条約)に関する調査資料を取りまとめ会員各社へ配布した。
1995年、ISO 9000とGMP、レスポンシブルケア(RC)、製造物責任(PL)法(取引契約と留意事項)の検討を実施した。
1997年、前年度に検討した原薬製造に係わる環境関連、化学物質関連、労働安全関連、その他の重要な法規について、38件の法律についてその目的、規制のポイント、許認可の概要、罰則等につき取りまとめ、その他法律名の紹介にとどめた22法令を加え、報告書として会員各社へ配布した。
4.規制緩和要望
1997年、薬事法関連で14項目、化審法関連で8項目の要望が寄せられ、委員会内で整理・検討を行い最終的に厚生省関係4件、通産省関係5件(化審法関係4件、アルコール専売法関係1件)につき規制緩和要望書を提出した。
1998年、市販後調査関係の義務軽減2件、原薬の再審査等にかかる手数料の軽減1件、化審法関連1件(国内承認の無い外国医薬品の中間体にかかる新規化学物質の取扱い)の要望書を提出した。
2000年度、政府の新規規制緩和3カ年計画に呼応し継続して規制緩和要望を検討し、会員からの要望2件を選択し、要望書を提出した。
同年、前年度から検討していた薬事法関連1件(小分け製造における試験検査の扱い)、化審法関連1件(医薬品製造目的のみの中間体に関わる承認前の届出免除)の要望書を提出した。
5.原薬取扱いの手引書の作成
2000年、原薬における許認可の手続き等が参考とすべき医薬品製造指針にも詳細が不明であり、原薬に係わる手続き、関連の特別な法令への対応を分かり易くすることを目的に、1998年より3カ年計画で検討を行ってきた冊子「原薬取扱いの手引き」を完成させ、会員各社に配布した。