原薬工業会とは沿革
30周年を迎えて
GMP委員会
GMP委員会は、原薬工で最初に発足した委員会であって、1982年に設置されて以来、GMP技術委員会という名称に変更していた一時期もあったが、23年間に亘り、積極的に委員会活動を続けてきた。会員各社から推薦して戴いた数多くの歴代委員の方々と共に、GMPに関わる諸問題について調査研究を行い、それらの問題の対応について検討すると共に、問題解決のための提案を行ってきた。30周年記念を迎え、委員会としての10年を振り返り、反省と共に今後の進むべき道を考えるため、1995年度(平成7年度)から2004年度(平成16年度)の委員会活動の概要を纏めて見た。
GMP委員会は、各会員会社からご推薦戴いた委員の方々で構成されている。
各委員の会社における所属部署は、品質保証部門、品質管理部門が多いものの、製造、研究、営業等と、多岐に亘っており、それぞれの立場から忌憚のない意見を出して戴き、十分な議論を尽くして諸問題を検討してきた。
従って、委員会として出す結論は、様々な視点から出された意見を勘案して出されたものである。
GMP委員会の目的は、会員各企業がGMPを遵守すると共に、GMPを効率的且つ合理的に実施していくための方策を考え、それらを実施していくための手法を確立することに重点を置き、併せてGMP実施に伴う品質保証体制の在り方について究明をすることである。これらの目的を果たすために、実施している活動の概要を述べる。
1.GMP委員会の開催
2.GMP実務担当者研修会の実施
3.日薬連、製薬協等業界団体との交流、協議への参加
4.原薬GMPに関する行政当局への意見・要望及び施策の提案
1.GMP委員会の開催
GMP委員会は、当初不定期に必要に応じ開催してきたが、原薬GMP施行の1989年より、月1回の定例開催の他、当局からの意見聴取、パブリックコメントへの意見を求められる等、緊急を要する場合には、臨時の委員会を開催し、課題への対応を行ってきた。委員会のテーマは、政省令への適切な対応をするための検討、会員各社が抱えているGMPの課題を解決するための提案、当局の施策や業界の情報を基に、議論すると共にGMP委員会としての考え方を纏め上げ提案、提示していくことである。それらは、GMP委員会の意見として、必要に応じ当局に、業界団体に提案してきた。業界には原薬のGMPを専門的に検討する団体が他にないため、原薬工GMP委員会の意見、提案は、極めて責任が重いものと自覚し、常々の活動を行っている。
毎年GMP実務担当者研修会を開催し、会員会社の最も関心があると思われる課題について、テーマを選定し、委員会で十分に検討を行い、その成果を発表しているのもその一環と考えている。
2.GMP実務担当者研修会の実施
GMP実務担当者研修会は、毎年期末の3月に開催していたが、年度末は会員各社の業務が多忙であるという理由から、2002年以降は、4月に開催している。実務担当者研修会では、会員会社共通と思われる原薬GMPに関する課題を1年間かけて、GMP実務担当者の成すべき業務内容を考慮し、実務を行う際の問題点、課題等を念頭に置き、単に法令や規制をなぞるだけでなく、実務担当者自身の抱える問題を解決することを主眼に置き、内容を検討し、その成果を発表している。
研修会は、パネルディスカッション方式を採用し、質疑応答を活発に行うための時間を十分にとり、参加者と発表テーマについて意見交換をすることで参加者の好評を得ている。意見交換により、研修会参加者のそれぞれの意見、職場の現実的なGMP上の悩みを受け止め、検討すべき課題を拾い出し、翌年のテーマを選択する際の参考にしている。研修会のテーマとその内容は、会員会社に有用であり、研修会の参加者が、すぐに社内で利用できるものを選定するように心掛けている。各委員が1年間切磋琢磨し、纏め上げた資料を、研修会において評価して戴き、参考資料として活用したいという参加者のご意見が多いのは、委員会にとって嬉しいことである。
3.日薬連、製薬協等業界団体との交流及び協議への参加
業界団体との交流及び協議会への参加は、本来、原薬工業会総体としての活動であるが、GMP委員会としても積極的に委員を選出し、参加してきた。
1995年度以降も、GMP管理規則及び構造設備規則に関する解説及びQ&A作成に際し、厚生省、日薬連、原薬工合同検討会に委員を派遣するなど、多くの打合せ会議に参加し、原薬工としての意見を述べてきた。
1999年度(平成11年度)に長年にわたり日薬連と検討してきたGMP事例集、GMP解説書を厚生省監視指導課監修で発刊し、2001年度には厚労省、日薬連と共に改訂のためにGMP事例集の見直しを行った。一方、1998年ICHワシントン会議において、PIC / PICSの API GMP Guide案がICHの正式の議題として取り上げられることになり、日米欧の官民によるICH EWG国際会議が開催されることが決定した。ICH EWG国際会議に向け、製薬協から原薬工にQ7A専門家会議出席委員の派遣要請があり、GMP委員会委員を派遣すると共に委員をサポートするためのQ7Aサポーティンググループにも複数の委員が参加し、日薬連GMP委員と共に協力を行った。第1回のパリ会議を始めとして2000年まで9回に及ぶ国際会議に業界を代表して出席し、原薬GMPのガイドライン作成に携わってきた。2000年にはICH Q7Aとして日米EUが合意に達し、日本では2001年 (平成13年)医薬発1200号「原薬GMPのガイドライン」として発出され、原薬GMPのバイブル的存在であることは周知の通りである。ICH Q7Aと平行して1999年より厚生科学研究班において「医薬品製剤原料の品質確保に関する研究」を行うことになり、研究協力を要請され、委員を選出、3年間に亘り会議に参加し、研究報告作成に協力した。2002年度には日薬連の改正薬事法第1WG(生物由来関係)、3WG(GQP・許可区分・GMP)の検討会議に委員長をはじめ委員がオブザーバーとして出席、GQP、GMP作成に従事。2003年度には厚労省、日薬連との改正薬事法関連の検討会への参加。一方、製薬協と共同で「GQPによる製造販売業者と製造業者の取り決め事項について」業界案作成のための検討会議を持つと共に業界案作成に携わった事等は、年度ごとの特筆すべき活動であった。2003年度から製剤機械研究会と共に原薬設備の適格性評価について定期的に検討会を開催し、原薬設備の適格性評価の在り方に関して、引き続き共同研究を行っている。
4.原薬GMPに関する行政当局への意見・要望及び施策の提案
業界団体との活動と重複する部分もあるが、業界団体でまとめた意見の多くは、行政当局への提案となっている。GMP委員会としても、2003年度(平成15年度)には改正薬事法及びGMPのパブリックコメントに、2004年度(平成16年度)には承認申請書及び原薬登録簿原本のパブリックコメントに対し意見・要望を提示してきた。
GMP委員会は、この10年を振り返ると、委員相互が切磋琢磨し、積極的に意見交換を行うことで、前向きの結論を導き出す機運が更に高まってきた。
また、改正薬事法の検討に際しては、将来を見通した課題を設定し、確かな現状を認識することにより、課題を解決することが出来たように思われる。
改正薬事法により、製造承認制度が販売承認制度に変わり、製造販売業者の品質保証に関わるGQPと製造業者の行うGMPが密接に関わり、他方、製造販売業者が申請する承認申請書や、製造業者が作成するマスターファイルが、GMPにおける製品標準書と大きく関連することから、GMP委員会の活動も従来の守備範囲より更に拡大していることを認識し、そのことを念頭に置き、次の10年、さらに次の10年先にも、現在のGMP委員会の存在意義を堅持しつつ、更にその存在意義を高めて行くことが、GMP委員会の使命であると考えている。
GMP実務担当者研修会
実施内容一覧(参考)
(1995年)
(1996年)
(1997年)
(1998年)
(1999年)
(2000年)
(2001年)
(2002年)
(2003年)
(2004年)
(2005年)